出演者は、宮野真守さん(ラインハルト・フォン・ローエングラム役)、鈴村健一さん(ヤン・ウェンリー役)、諏訪部順一さん(パウル・フォン・オーベルシュタイン役)、梶裕貴さん(ユリアン・ミンツ役、昼の部のみ出演)、上村祐翔さん(ナイトハルト・ミュラー役)、三木眞一郎さん(ワルター・フォン・シェーンコップ役)。演じるキャラクターや名場面に関するエピソードを語ったり、銀河帝国と自由惑星同盟に分かれてゲーム対決をしたり、朗読劇が披露されたりと、非常にバラエティに富んだ内容のイベントでした。このレポートでは、続編制作決定などの新情報が初めて発表された「昼の部」をレポートしていきます。
各キャラの決めゼリフとともにキャスト陣が登場
会場の相模女子大学グリーンホールの1階ロビーには、5周年記念イベントのために描き下ろされたラインハルトとヤンのイラストを使用したキャラクターパネルも展示。軍礼服姿の凛々しい二人のパネルは大人気で、写真撮影の順番を待つ行列は階段を上った2階通路まで伸びており、開場直後から開演時間の直前まで、列が途切れることはありませんでした。
オーケストラのコンサートなどでも使用される大ホールのステージは、漆黒の宇宙のイメージで装飾されており、3つのミラーボールや照明はまるで星のように輝いています。開演時間になると、ステージ奥のスクリーンにイベントのオープニング映像が上映された後、出演者が登場。最初に登場した宮野さんが、右手を前方に突き出すポーズ付きで「ファイエル」とお馴染みの台詞を言ったことに合わせたのか、鈴村さんは同じポーズで「撃て」と号令。会場からは拍手と共に笑い声が聞こえてきます。さらに、諏訪部さんは敬礼をしながら「御意」、梶さんは手を振って可愛く「提督~!」と呼びかけるなど、演じるキャラクターにちなんだ台詞での登場が続きます。上村さんが諏訪部さんと同じく「御意」と敬礼した後、「シェーンコップは何と言って登場するのだろう?」と思っていると、三木さんは「そういうのがないので、すみません」と謝罪をしながら登場。客席から聞こえていた拍手と笑い声は、さらに大きくなりました。ちなみに、宮野さんの「ファイエル」は、この後もツッコミの手段として何度も登場。事務所の後輩で、作中でも部下を演じる上村さん相手に発射されていました。
キャスト陣の登場から大いに盛り上がった後、『銀河英雄伝説Die Neue These』のイベントや舞台挨拶でお馴染みの司会の森雄一さんも登場し、5周年記念イベントが始まりました。一人一人が挨拶とイベントに対する意気込みなどを語った後、最初のコーナー「5周年記念トーク」が開始。『銀河英雄伝説Die Neue These』の歴史を振り返りながら、司会の森さんが各キャストに質問をしていきます。 初登場シーンの思い出について質問された宮野さんと鈴村さんは、二人とも第1話のアフレコ開始前に収録されたPV収録時のエピソードを語りました。
宮野「音響監督の三間(雅文)さんからは、『貴族であることを演じようとせず、それが当たり前であること』と言われました。貴族であることが当たり前というのは難しく…。ただ貴族になろうとするよりも、ラインハルトがどういう風に生きてきて、どういう想いを抱えているのかをフォーカスしていったら、自然と芽生えていったなと思っています。」
鈴村「『銀英伝』のヤン・ウェンリーをやることの意味が自分の中ですごく大きかったから気合いが入りすぎてしまって。自分でも見栄を張っちゃっているなと感じていたら、三間さんが『彼らは戦争をしているのは当たり前の人たち。ヤンにとってはこれが日常で、その中でこの台詞が出ている』と言ってくれたんです。そのPVの収録で、(ヤンたちの言葉を)日常の言葉として言えるようにしていこうという指針が決まりました」
宮野「頑張り過ぎちゃってたんですよね」
鈴村「そうそう。二人とも緊張ガチガチなのもあって、頑張り過ぎました」
他のキャスト陣も初登場シーンに関する思い出を答えていく中、諏訪部さんはオーベルシュタイン役に決まったときのエピソードも一緒に披露してくれました。多田俊介監督の別作品でも長年、メインキャラクターを演じていた諏訪部さんは、多田監督から「諏訪部さんにお願いしたいと思っているキャラがいる」と言われていたそうです。
諏訪部「しばらく経って、事務所に問い合わせが来たというので『どの役?』とマネージャーに聞いたら『オーベルシュタインです』と言われて。『やるやるやる! すぐにスケジュールを押さえて!』と言いました。もともと好きなキャラクターだったので。憎まれ役でもあるのですが、帝国にとって必要不可欠な人物。とてもやりがいのある役です。もっともっと多くのみなさんに、好きになってもらいたいですね(笑)」
6人の中では、最も遅い27話で初めて登場し、初セリフは28話だったミュラー。演じる上村さんは、最初のアフレコのときに、若いながらも優秀な軍人であるミュラーを強く見せようと意識し過ぎていたそうです。
上村「ミュラーは、ミッターマイヤーたちと(同じ提督として)肩を並べるぐらいの実力がある。だからこそ、演じるときに、もっと強くあろうと背伸びしてしまう部分が最初はどうしてもありました」
宮野「三間さんから『閣下に対して、そんな挑戦的に言ったらダメだよ』って言われてた(笑)」
諏訪部「ラインハルトに対して同等以上の物言いになってしまい、リテイクになる時がみんなあります(笑)」
上村「そうなんです。気概はあるんですけど、(階級などを意識して)それを直接は面に出さない。そこが『銀英伝』ならではなのだなと思いました」
宮野「絶対的な存在に対してどう接するのかって、なかなか分からないもんね。それが日常という世界の人々の価値観を持つことは、やっぱり難しいんです」
シェーンコップのヤンへの「椅子ドン」も話題に
次の質問は、「自分が演じるキャラクターの変化や成長を感じたシーン」。
宮野さんは、無二の親友ジークフリード・キルヒアイスが死んだ後の第23話で、姉のアンネローゼ・フォン・グリューネワルトとの会話シーンを挙げ、「喪失感から生まれる混乱」で、ラインハルトの「自分の在り方」が変わったと語りました。
続く鈴村さんは、3つのシーンを挙げたのですが、そのすべてがユリアンと一緒のシーン。梶さんが「今は鈴村さんの(話す)ターンですよね?(笑)」と確認すると、「ユリアンのことが好き過ぎて」と笑った後、選択の理由を語りました。
鈴村「ラインハルトは成長していく姿を見せるのですが、その対比で考えると、ヤンは政治的、軍事的な部分では成長していくところが少ない。最初から、ある程度は完成して、少し達観している部分もある。でも、ユリアンとの関係は、それらのこととは全然違って、自分の中にはなかった感覚。子供を育てるってこういうことなんだと、一つ一つ気づいていくんです」
ユリアンを演じる梶さんが挙げたのも3つのシーン。その中には、フェザーンに旅立つ際のヤンとの別れが描かれる第44話も選ばれていました。
梶「ユリアンが巣立って行くシーンなんですけど、ずっと旅立たせるのを嫌がっていたヤンが、様々な理由はあるのですが、ようやく認めてくれた瞬間というか。ちゃんと向き合って、送り出してくれた。それがユリアンを演じる身としても嬉しかったですし、(ヤン
が)いろいろと言った後、最後に『風邪を引くなよ』と、保護者として、親として言葉を
かけてくれたのが、とても素敵だなと感じました。二人の関係性を象徴するようなシーン
で、微笑ましくもありましたね」
諏訪部さん、上村さんの回答もおわり、最後に質問された三木さんが答えたのは、プラネタリウムでのヤンとの会話と、ユリアンの成績をヤンに報告する場面。どちらも17話でしたが、客席が特に沸いたのがプラネタリウムのシーンに関するトーク。
三木「この作品はシリアスで、非常に重厚感のあるお話が多いんですけど、このシーンはX、旧Twitter上で、ごく一部の人がザワついてくださったので。そういう意味で成長を感じたかなと(笑)」
鈴村「あはは(笑)。あれは、『椅子ドン』って言うんですかね」
宮野「ちょっと距離が近いですよね(笑)」
三木「まあ、それは副産物的なものとして(笑)。それまで探り合ったりしていた二人が、二人だけでこういう風に(お互いの考えを)ぶつけ合ってやり取りができるようになった。それは成長ではないかなと、僕は思いました」
鈴村「このシーンは僕も印象的で。ヤンを観ていると『ヤンがこうしたら良いのに』ってみんな思うじゃないですか。そういう視聴者の意見をシェーンコップが椅子ドンで伝えてくれたシーンですよね(笑)。『頑張れ、シェーンコップ!』みたいな気持ちで、完成した映像を観たのをすごく覚えています」
「5周年記念トーク」の最後の質問は、「次にやってみたいこと」。「宇宙への聖地巡礼」などで盛り上がった後、宮野さんが真剣に語ります。
宮野「フィクションであるはずなのに、こんなにもリアリティがある。本当に歴史を一緒に辿っている感じがあるので、この先々の物語も(アニメに)できたら良いのにと思います」
猫キャラが登場する『銀ニャ英雄伝説』の朗読劇
森さんが「次のコーナーは、5周年記念スペシャル生アテレコです」と紹介すると、客席からは大きな拍手が響きます。さらに、「今日は2つの朗読を用意しております。今からその一つ目を披露していただきます」と語って退場。入れ替わるように6人のキャストがマイク前に立ち、諏訪部さんのセリフから朗読が始まりました。
諏訪部「閣下。『銀河英雄伝説Die Neue These 5周年記念イベント』の開始が迫っておりますニャ」
オーベルシュタインのセリフの語尾が「ニャ」だったことに気づいた客席から、笑い声と拍手が聞こえてきます。Xのアカウント『ノイエ銀英伝 情報局』には、『ノイエ銀英伝』のキャラクターたちが猫になった銀ニャが度々登場します。そんな『銀ニャ英雄伝説』の物語が朗読劇になったのです。5周年イベントの会場へと向かう銀ニャ帝国のニャインハルト、ニャーベルシュタイン、ミュニャー。同じ頃、自由ニャン星同盟のニャン、ユリニャン、ニャーンコップも同じイベントの会場に向かっていました。そして、両陣営は会場で鉢合わせしてしまい……。
語尾などが「ニャ」となったネコ語の台詞でも、キャラクター感はキープしたまま演じる6人。シュールな空気の台詞の一言一言に客席からは笑いが起きていました。最後は、両陣営が仲良く声を合わせて5周年を祝い、一つ目の朗読劇は終わりました。
次は、ゲームコーナー『要塞VS要塞クイズ! ベスト○○を撃沈せよ!』。帝国チームと同盟チームに分かれてのクイズ対決です。問題は、世界で競技人口の多いスポーツベスト5。10個の選択肢の中から正解を選ぶと加点。1位を当てたら5点、5位なら1点というシステムです。勝利チームへの賞品は、銀河高原ビール。回答は交互に行うのですが、両チームとも超真剣モード。じっくり話し合った末に答えていきます。大接戦となり白熱した戦いは、最後に1位を当てた帝国チームの勝利。宮野さんが大きな賞品目録を受け取りました。
ゲーム対決で盛り上がった後は、新作ゲームの告知。現在開発中の戦略シミュレーションゲーム『銀河英雄伝説 Die Neue Saga』に登場するイラストとPVが公開されました。
鈴村「ゲーム内で戦略を立てて、どう戦うかとか選べるわけでしょ? 歴史のifみたいなものを楽しめるのかも」
宮野「だいぶ、ifだと思います。(ボイスの収録で)原作とは違うやりとりをかなりしましたから」
PVの中では、ゲーム画面も公開。どんなゲームになるのか楽しみな気持ちがさらに増した人は多いことでしょう。
『銀河英雄伝説Die Neue These』続編制作決定
ゲームコーナーの後は、歴代オープニング映像を上映。その間にまた6本のスタンドマイクが用意されたのですが、キャストではなく司会の森さんが登場。アニメ本編の中で帝国の群衆が叫んだ「ジークカイザー、ラインハルト」のコールを「やってみたくありませんか?」と客席に問いかけます。大きな同意の拍手が鳴り響いたことで、森さんが「せーの」と合図をすると、ホールの中に「ジークカイザー、ラインハルト」の声が響き渡ります。森さんの煽りで、さらに声が大きくなると、森さんと入れ替わりに宮野さんと上村さんが登場。宮野さんが手で群衆を静めた後、2本目の朗読劇がスタートしました。
この物語の中では、フォースシーズン『策謀』の最終回(第48話)後の各キャラクターが描かれていきます。フェザーンの地で、同盟領への進軍開始と、その障害となるであろうヤンについて語るラインハルトとミュラー。イゼルローン要塞で、フェザーンを占領したラインハルトの狙いを読み解き、感嘆しながら語り合うヤンとシェーンコップ。フェザーンで潜伏中、ヤンの言葉を思い出し、決意を新たにするユリアン。
超高速通信を使って、フェザーンの占領状況と、今後について語り合うオーベルシュタインとラインハルト。最後に、6人がそれぞれの思いを語ったところで、朗読劇は終了。キャスト陣が深々とお辞儀をすると、客席からは大きな拍手が送られます。
そして、スクリーンには銀河の歴史を描いた映像が流れ始め、最後にはお馴染み下山吉光さんのナレーションが聞こえてきます。
「二つの国家はついにその命運を決する戦いへ。『銀河英雄伝説Die Neue These』続編制作決定」
その瞬間、この日、最大級の大きな拍手が鳴り響きました。司会の森さんから、続編制作決定のPVを観ての感想を聞かれた宮野さんは、「いや、全然、知りませんでした。さっき、僕がトークコーナーで言ったからですかね?」ととぼけた答え。会場からは大きな笑い声が聞こえてきます。梶さんの「だとしたら、OK出すの早いですね(笑)」という突っ込みに大笑いした宮野さんは、力強く「楽しみです」と答えました。
そして、森さんが多田監督のコメントと、原作者の田中先生からの手紙を代読。
田中先生の手紙の中には「続編の完成までは、だいぶお時間がかかるそうですが」と書かれており、森さんも「完成には、しばらくかかるそうなので、皆さん、銀英伝時間でお待ちいただければ」と念押ししていました。新作に関する情報の発表は、ここまでだったのですが、さらに大きな新情報が公開。ファーストシーズンからフォースシーズンまでの全48話が、2024年1月16日(火)より日本テレビアニメ枠「AnichU」にて、放送されることも発表されました。サードシーズン「激突」フォースシーズン「策謀」は今回が初のテレビ放送になります。会場に訪れているファンの多くが待ち望んでいたであろう嬉しいニュースが発表された後は、イベントも終了の時刻に。最後は、キャスト陣の一人一人からファンへのメッセージで締めくくられました。
三木「再出発の告知ができるときに、こうやってステージの上で多くのお客様と一緒の時間を過ごすことができたのは、メモリアル的な意味があったと感じています。皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか?(大きな拍手)ありがとうございます。どうやら、若干のテンポアップが必要な時間になっているようです。私、三木眞一郎でした。ありがとうございました」
上村「5周年イベントという記念すべき日に、続編があるという、あ……(噛んで止まってしまう)」
宮野「テンポアップ(笑)」
上村「はい! 皆さんとまたこのような素晴らしい景色を見られるように、僕も精一杯頑張っていきますので、これからも引き続き、よろしくお願いします。ありがとうございました」
梶「久しぶりの『ノイエ銀英伝』のイベントに参加できて、すごく嬉しかったです。振り返りコーナーもあって『ノイエ銀英伝』の魅力を再確認できる時間でありながら、バラエティでは異様に盛り上がりましたね(笑)。そして朗読コーナーでは、改めて「お芝居をしていて本当に楽しい作品だな」と強く感じました。続編制作決定ということで、またいつか演じられる機会をいただけましたので、僕らも皆さんと一緒に”銀英伝時間’を楽しみながら、その時を待ちたいと思います。まずは、1話から48話までのTV放送を、ぜひ毎週欠かさずご覧ください。本日はありがとうございました!」
諏訪部「続編の制作が発表されました。後期高齢者になる前に、ぜひとも始まって欲しいなと思っている次第です。引き続き、皆さんも我々と一緒に銀河の新しい歴史を目撃して……いただけるかな? (客席から「いいとも~」の返答) ありがとうございました」
鈴村「なんでみんな咄嗟に答えられるの? びっくりした(笑)。僕にとっても本当に大切な作品で、こうして続編が決まったことをとてもとても嬉しく思っております。どうやら、作るのにだいぶ時間がかかるということですが、きっと待っている間も楽しい作品かなと思います。必ず作ってくれると言ったわけですからね。ゲームも出ますし、テレビでオンエアもされますし、その間も楽しみながら、一緒に待ちましょう。できたときに、また一緒に騒いで、素晴らしい作品だったと共有できる日を楽しみにしています。ありがとうございました」
宮野「先ほどの田中先生のお手紙にもありましたが、コロナ禍を挟んだことは、アニメ制作においても本当に大変だったんです。でも、関わっているみんなが(途中で)止めたくないという思いの塊だったんですよね。来年1年間、テレビで観られるのも、ゲームが始まるのもその思いがあったからだと思います。そして、続編が決まったと発表したときに、みんなが泣いて喜んでくれたということが、何よりの糧になりました。最高の作品を一緒に作っていきたいと思いますので、ぜひ待っていてください。今日は、本当にありがとうございました」
こうして未来への楽しみな約束で締めくくられた「銀河英雄伝説 Die Neue These 5周年記念イベント」の昼の部は終了しました。