東京創元社より『銀河英雄伝説』正伝(全10巻)完結より33年、新たな伝説がはじまる! 『銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河』(田中芳樹監修) 豪華執筆陣が集結し刊行が決定しました!
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永遠の名作『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家陣が、正伝・外伝では語られなかったエピソードを紡ぎ出す。
ラインハルトの新婚旅行で起きた椿事、ヤン・ウェンリーの青春時代の思い出、安楽椅子探偵オーベルシュタインの名推理……。
新しい『銀河英雄伝説』の世界へようこそ。
公式トリビュート第1弾。
序文=田中芳樹/収録作家=石持浅海・太田忠司・小川一水・小前亮・高島雄哉・藤井太洋
アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」の続編制作も決定し、これからも銀河英雄伝説から目が離せません。
適切な喩えかどうかわかりませんが、いわば私は「銀河英雄伝説」という名の野球スタジアムを建設しました。
そのスタジアムのなかで、名だたる選手たちが思いのままにプレーし、好打や美技を披露してくれる。そう想像すると、わくわくします。
できあがった本を手にする日が愉しみです。
そして、できるだけ多くの方々が、その愉しみを分かちあい、「銀河英雄伝説の世界がひろがった」と喜んでくださることを、心から祈っております。
――田中芳樹(序文より)
【内容紹介】
遠未来の宇宙。専制君主が支配する帝国と、独裁に抵抗する自由惑星同盟。そして帝国領でありながら陰で権力を操るフェザーン自治領という銀河の盤面で繰り広げられる英雄たちの闘争と栄光を描いた宇宙叙事詩は、1982年の正伝第1巻刊行から現在に至るまで日本SFの金字塔として永らく読者を魅了しつづけている。『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家たちが捧げる6編を収録する公式トリビュート短編集。
【各話紹介】(全6編、収録順)
「竜神滝(ドラッハ・ヴァッサーフェル)の皇帝陛下」小川一水
「川に釣糸を垂れていらっしゃるときでも、陛下は、鱒ではなく宇宙を釣りあげようとしておいででした」という記述が正伝10巻にある。その背景となった出来事とは……。フェザーンへ新婚旅行に赴いたラインハルトとヒルダ。皇帝夫妻を歓迎する一大イベントブームが巻き起こり、耐えかねたラインハルトは不意に「明日から予はさかな釣りをする」と宣言した。
小川一水(おがわ・いっすい)
1975年、岐阜県生まれ。96年、『まずは一報ポプラパレスより』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー(河出智紀名義)、2004年に『第六大陸』で、14年に『コロロギ岳から木星トロヤへ』でそれぞれ第35回、第45回星雲賞を受賞。20年に『天冥の標』で第40回日本SF大賞、第51回星雲賞を受賞。他の著作に『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』などがある。
「士官学校生の恋」石持浅海
菓子作りを趣味とする士官学校生が帝国人を祖父に持つ恋人のため、数少ない証言を元に帝国の郷土菓子を作った。だが彼女は「イメージしていた味とどこか違う」と首をひねる――想像の中にしか正解のない味を再現することは可能なのか? アレックス・キャゼルヌ少佐は、後輩ヤン・ウェンリーから聞いた逸話を恋人オルタンスに披露するが……
石持浅海(いしもち・あさみ)
1966年愛媛県生まれ。九州大学卒。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト(KAPPA-ONE)第一期生として、『アイルランドの薔薇』でデビュー。『月の扉』に始まる〈座間味くん〉シリーズ、『扉は閉ざされたまま』に始まる〈碓氷優佳〉シリーズのほか、『水の迷宮』『BG、あるいは死せるカイニス』『温かな手』『フライ・バイ・ワイヤ』など著作多数。
「ティエリー・ボナール最後の戦い」小前亮
謎の奇襲によって基地を壊滅させられた自由惑星同盟。同盟の航路情報が帝国軍に漏洩しているのか、それとも第三勢力フェザーンの陰謀か? 疑心暗鬼うずまくさなかに招集されたのは、剽悍かつ生真面目なウランフ少将と、彼と好対照の性格を持つティエリー・ボナール。さっそく彼らは調査を始めるが、そこに第二の襲撃の報がもたらされる。
小前亮(こまえ・りょう)
1976年、島根県出身。東京大学大学院修了。2005年に歴史小説『李世民』でデビュー。主に歴史小説の分野で活躍する。その他の著作に〈三国志〉〈真田十勇士〉〈新選組戦記〉シリーズほか、『賢弟と逆臣と』『劉裕』『添乗員さん、気をつけて』『星の旅人』などがある。
「星たちの舞台」高島雄哉
卒業を3か月後に控えた士官候補生ヤン・ウェンリーは親友のラップに頼まれ、音楽学校生ヒュパティアが企画する演劇の舞台に出演することに。ヒュパティアは学寮の廃止に対抗するべく、かつて士官学校での学科存続運動の旗振り役だったヤンの手を借りたいと考えたのだという。ヤンは自分と同じ姓を持つ1600年前の物理学者を演じることになるが。
高島雄哉(たかしま・ゆうや)
1977生まれ。東京大学卒、東京藝術大学卒。2014年、第5回創元SF短編賞を「ランドスケープと夏の定理」で受賞。同題の短編集のほか、『エンタングル・ガール』などの著作がある。16年の劇場用アニメーション『ゼーガペインADP』ではSF考証を担当、以降『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』『ブルバスター』など多くの作品に参加している。
「レナーテは語る」太田忠司
帝国軍の情報処理課に勤務するレナーテは、ある晩同僚の女性イェシカが睡眠薬の過剰摂取のため自室で死亡しているのを発見する。だが、現場にやってきた上司のオーベルシュタインは、即座にその死が自殺に偽装されたものであることを看破した。あくまでも冷徹を貫く上司に反発を覚えながらも、レナーテは真実を探り当てることを亡き友人に誓う。
太田忠司(おおた・ただし)
1959年愛知県生まれ。名古屋工業大学卒業。81年、「帰郷」が「星新一ショートショート・コンテスト」で優秀作に選ばれる。2004年発表の『黄金蝶ひとり』で第21回うつのみやこども賞受賞。〈少年探偵・狩野俊介〉〈ミステリなふたり〉などシリーズ作品のほか、『奇談蒐集家』『遺品博物館』『猿神』など多数の著作がある。
「晴れあがる銀河」藤井太洋
帝国暦3年。皇帝ゴールデンバウムの勅令により、帝国軍航路局のシュテファン・アトウッド少尉は、惑星オーディンを中心に据えた「帝国基準の」銀河航路図を作成することになる。黒人女性技術者のカメリア・ランカフと金髪碧眼のホンダ・スマイリーを従え、新しい航路を購入するべく訪れたのは、ローレンス・ラープ三世という地球出身者が経営する商会だった。
藤井太洋(ふじい・たいよう)
1971年鹿児島県生まれ。国際基督教大学中退。2012年、電子書籍のセルフ・パブリッシングで発表した『Gene Mapper』が注目を集め、翌年本格的にデビュー。15年に『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞と第46回星雲賞を、19年に『ハロー・ワールド』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著作に『東京の子』『ワン・モア・ヌーク』などがある。
【書誌情報】
書名:銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河
レーベル:創元SF文庫
ページ数:416ページ
価格:990円(本体価格:900円)
ISBN:978-4-488-72517-4
Cコード:C0193
分類コード:SF-た-1-17
【東京創元社】
http://www.tsogen.co.jp/np/index.html