本作でイラストや絵コンテを担当されている麻宮騎亜さん(漫画家・イラストレーター/絵コンテ)が登壇され、MCを務める本作のエグゼクティブプロデューサーの郡司幹雄さんと共に“絵コンテとレイアウト”をテーマにトークを繰り広げました。
まずは、麻宮さんと郡司Pの出会いのきっかけについて。
麻宮
「実は郡司 さんとは違う作品でお仕事をご一緒したのです」
と語ると、
郡司
「その時に描いていただいたイラストなどが素晴らしくて、
後に磯部プロデューサーに麻宮さんと紹介したのです。
これがきっかけでノイエ銀英伝にも参加いただくようになりました。」
と、話が弾んでいきました。
郡司
「麻宮さんからイラストが届くと、PCの前にI.Gのスタッフが集合して、みんなで感想を言い合うことが恒例になっています。
戦艦と古城のイラストは、社内でも特に好評でした」
と裏話を披露しました。
続いて、麻宮さんが担当した38話の絵コンテについて様々なシーンを振り返りました。
麻宮
「ヤンがユリアンに軍人になりたいと打ち明けられるシーンは、脚本の段階では実はソファではなくベッドでした。打ち合わせの段階で多田監督の指示で、絵コンテになる時に変更になりました。
確かにベッドだとヤンがあまりにも体調を崩している印象になってしまうので、ユリアンが想いを打ち明けるにはそぐわないと思えたんです」
お二人が「ヤンがころんと転がっていてかわいいからお気に入り」と語った同シーンのコンテも公開されました。
麻宮
「特に策謀では会話シーンが多いため、画面の中でキャラクターを動かしたりレイアウトを変えたりしないと起伏が少なくなるんです。
ヤンの可愛らしさと人間味溢れる部分をこのシーンで表現しました」
とこだわりを話しました。
同じく38話のレイアウトに関して話が進み、郡司Pがミュラーがラインハルトに敗北を伝えるために謁見するシーンを紹介。
レイアウトを考えるのに意識していることを問われ、
麻宮
「アニメーションではなく実写映像として捉えて、カメラをどこに置くかを常に考えています」
と語りました。
今回のために特別に用意していただいた、該当シーンのアフレコ時に用いられた原画撮影映像 を見ながら解説が進んでいきます。
麻宮
「ここでも会話が中心なので、飽きない構図を考えています。この場面はレイアウトの基本の構図で、
ラインハルトとミュラーとオーベルシュタインで三角になるようにしました」
郡司
「見下ろしているラインハルトと、跪いているミュラーの心情がレイアウトでも表現されているんですよね」
そして、38話冒頭のルビンスキーとルパートの会話シーンも映像を見ながら振り返りました。
麻宮
「口元から目元にカメラが上がっているシーンは、自分でも上手く出来ました。自分のマンガでもそうなんですけど、重要だったり思わせぶりだったりするシーンでは、ついついキャラクターの目元をアップで映しちゃいますね」
郡司
「ここに感情の起伏が現れているようで、すごくいいなと思いました」
と感想を話していました。
ノイエ銀英伝は映画的な手法が多く用いられているのが特徴的だと語るお二人。
麻宮
「未だに昔の日本映画を見ていると、新しい発見があります。ライティングやカメラアングルがすごい参考になるんです」
と実写作品とアニメーションの関係について語ってくださいました。
イベントの最後には、麻宮さんから1名の方に、本作のイラストも収録されたサイン入りの麻宮さんの故郷の北上市で行われた展示会のパンフレットのプレゼントがありました。
最後に麻宮さんからご来場いただいたファンの方々へのご挨拶。
麻宮
「本日はありがとうございました。ノイエ銀英伝はイラストでずっと関わらせていただいていましたが、1回絵コンテに参加しただけで、こんな風にトークに呼んでいただけるとは思っても見ませんでした」
郡司Pが「もっとお願いします!」と言うと会場からは大きな拍手が巻き起こり、本イベントは終了しました。
登壇者(敬称略):麻宮騎亜(イラスト、38話絵コンテ担当)