イベント・動画

イベント2022.12.27
【銀河英雄伝説Die Neue These】12月13日開催の「策謀」第三章 スタッフトーク付き上映会オフィシャルレポート到着!

【銀河英雄伝説Die Neue These】12月13日開催の「策謀」第三章 スタッフトーク付き上映会オフィシャルレポート到着! 12月13日(火)、新宿ピカデリーにて、原作者の田中芳樹先生と、田中先生の所属事務所「らいとすたっふ」社長で、『銀河英雄伝説Die Neue These』の監修も務める安達裕章さんがご登壇された『銀河英雄伝説Die Neue These 策謀』第三章のスタッフトーク付き上映会が開催。
『銀英伝』ファン必見の内容だったイベントのレポートをご紹介いたします。



以下、本編のネタバレを含みます。

↓↓↓↓↓↓↓↓











まず、MCを務める松竹の田坂秀将プロデューサーが登場し、イベントに関する注意事項の説明に続き、田中先生と安達さんを紹介。大きな拍手の中、二人が登場しました。客席への感謝の思いがこもった挨拶の後、まずは、田坂プロデューサーから、安達さんの具体的な仕事内容に関する質問がありました。



安達
「芳樹さんが小説を書きます。便宜上、それを『一次版権』と呼びますが、そこから波及した作品、例えば、この『ノイエ銀英伝』やコミック、舞台などは『二次以降版権』と呼ばれてます。本来ならば、その『二次以降版権』のすべてを作家自らがチェックできれば良いのですが、これだけ物が多くなると、一人ではチェックができない。また、いろいろな会社さんとの調整も一人でやると作品を書く時間がなくなってくる。そういうことがありますので、そこの部分はすべて私の方に任されていて。『こんな感じで良い?』『こういう人からこんな話があるのだけど、どうしたら良い?』といった話を田中さんにして、どうしたら良いかも聞いた上で、それに沿って進めていくのが私の仕事になっています」

続いて、田坂プロデューサーから、前シーズンの『激突』第三章の上映時に開催された田中先生と安達さんのスタッフトークの内容の簡単な振り返りが語られました。1982年11月から新書の書き下ろしという形で発表されていった『銀英伝』。田中先生が2巻を発売した時点では全3巻の予定でしたが、好評により全10巻に変更。担当編集者から、その話を聞いたとき田中先生は、「もし全10巻なら、キルヒアイスの死はもっと先でも良かったのに」と思ったそうです。そのお話を踏まえた上での田中先生への最初の質問は、全3巻構成から全10巻構成に変わってから意識したことでした。


田中
「ここまで読んでくださった読者の方たちに対して恥ずかしくないようにしなければいけないなと思い、3巻で終わるはずだったというのは微塵も見せないようにして。何食わぬ顔で、『最初から全10巻まで考えてましたよ』みたいな書き方を心がけました。書くべきことは(最初から)たくさんあって。その中から一部を抜粋して書いていましたので、10巻まで延びても書くことがなくて困るということはありませんでした」

2巻の刊行時点では大学院に在籍中で、3巻以降、専業作家となった田中先生。当時の心境やエピソードに関するお話の中では、作品を次々に書き続けているうちに専業作家となったため、「私の場合、『作家になる決意をしたのは、いつ頃ですか?』といった問いにはまったく答えられません」という話が印象的でした。若い作家希望の人には、いつも「作家というのはなるものではなく、なってしまうものだから」という話をしているそうです。続いて、『策謀』で特に印象深いキャラクターのルパート・ケッセルリンクとアドリアン・ルビンスキー親子の描き方に関する質問では、複雑な関係の親子が生まれた経緯が語られました。

田中
「3巻で終わるのであれば、ルビンスキーにルパートという息子は作りませんでした。(10巻になって)ルパートを作ったとき、この二人は必ず衝突させてやろうと思っていました。美濃の斎藤道三親子みたいなものです」

戦国武将の斎藤道三と息子の斎藤義龍のように親子で対立することは、息子が生まれたときから決まっていたようです。さらに、田坂プロデューサーからの質問に答える形で、『策謀』第三章の大きな見せ場でもあるオスカー・フォン・ロイエンタールとワルター・フォン・シェーンコップの白兵戦が描れた理由も明らかに。

田中
「話の流れの中で(二人が)ごく近くにいることになったので、それだったらすれ違わせるよりも、個人的なレベルではありますが一戦(ひといくさ)やらせた方が書いている方も楽しいなと思いました。とはいえ、どちらかを一方的に勝たせると(ファンから)カミソリ入りの手紙が来ないとも限らず(笑)。あと5分やったらシェーンコップが勝ってたかなというところでペンを抑えました。歌舞伎でも宝塚でも、美男同士や美女同士の対決は人気がありますし。きっと、お客さんにも喜んでもらえるだろうという計算も多少はありました(笑)」

安達
「本人は今、すごく客観的に言ってましたけど、おそらくですが、書いていて楽しかったと思います。僕は、芳樹さんは憑依体質だと思っていて。ヤンを書くときはヤンの気持ちになって書いているし、ラインハルトを書くときはラインハルトの気持ちになって書いている。だから、そのシーンもロイエンタールやシェーンコップの気持ちになって、わくわくして書いていたと思います」

トークの後半は、『策謀』で初登場したキャラクターや特に印象的な活躍をしたキャラクターについての質問が続きます。まずは、幼帝誘拐の実行犯であるアルフレット・フォン・ランズベルクについて、ラインハルトと門閥貴族の戦いで登場したときから、後に皇帝を誘拐することも視野にあったのかという質問がありました。




田中
「ランズベルク伯に関しては、『ああ、そういうやつもいたっけな』という感じだったというのが実は正直な話です。たぶん、一回、出しただけでは惜しいから、生かしておいて何かの役に立てようという邪悪な気分が出てきたのだと思います(笑)」

宇宙を揺るがすような大事件を起こすランズベルク伯の活躍も、
「3巻のはずが10巻になったことの副産物」とのことでした。また、『策謀』第三章で初登場して銀河帝国の内国安全保障局局長に就任したハイドリッヒ・ラングに関しては、「ああいうキャラクターが一人いると、作家としては大変ありがたいんです」と語っていました。有名なネットミームにもなっており、『銀英伝』を知らない人にも知られているラングについての印象を聞かれた安達さんは、「あれだけの共感を持ってもらえるキャラクターということは、たぶん、皆さんの身近にも『あいつラングみたいだ』って思うような人がいるんだと思います(笑)」

と答え、会場から笑い声が聞こえて来ます。
そして、トリューニヒトに関する質問の中では、『銀英伝』のキャラクターの名前がどのようにして決まったのかが語られました。

田中
「登場人物の名前を決めるときには、図書館へ行って(世界の出来事を記した)国際年鑑などを開くんです。すると、その年に重要な仕事をした人たちや大臣の名前とかが載っておりますので、それを片っ端からメモして、いろいろと組み合わせながら使っています。トリューニヒトというのは、人種差別がものすごく酷かった頃の南アフリカの政治家の名前です」

ちなみに、猪突猛進タイプの印象が強いフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトの「ビッテンフェルト」という名前のモデルは、「1955年頃の西ドイツの文部大臣」とのこと。

田中
「本当はきっと立派でおだやかな教養あふれる紳士だったのだろうと思いつつ、作品の中ではあんな風に書いてしまいました(笑)」

あっという間に時間は過ぎ、スタッフトークも終了の時間。最後の挨拶では、田中先生と安達さんから『ノイエ銀英伝』の今後に向けての希望も語られました。


安達
「一番の特等席で田中さんの話を聞けて、今日は楽しい夜になりました。この『策謀』第三章で(『ノイエ銀英伝』も)一旦は一区切りという話は聞いておりますけれど、また同じような形でこの人の横で皆さんの前に立ちたいと思っておりますので、今後も『ノイエ銀英伝』の応援をよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました」



田中
「こんなに寒い中、足を運んでいただけて、本当に感激しています。作家というのは学校の先生みたいなもので。どんなに優秀な生徒でも、何十年前に卒業した生徒より、今、目の前で教えている悪ガキどもの方が大切なんです。でも、30年もの、40年もの間、古い卒業生をこんなにも応援していただけることが、自分でも信じられません。作家になって良かったと思うのは、有名人と対談するときくらいで。漫画家の萩尾望都先生と対談することになったときには、2日くらい仕事が手に付きませんでした(笑)。でも、こうやって皆さんに長く応援し続けていただけていることは、本当に作家冥利に尽きます。原作の方はとっくに終わって、卒業していますが、他のジャンルではまだ留年しているようなので、今後も何卒、応援していただけたら幸いです。本当に皆さんありがとうございました」

大きな拍手が鳴り響く中、田中先生と安達さんが退場。こうして、『銀河英雄伝説Die Neue These 策謀』第三章、最後のスタッフトークが終了しました。








【リンク】
「銀河英雄伝説 Die Neue These」公式HP:http://gineiden-anime.com
「銀河英雄伝説 Die Neue These」公式Twitter:@gineidenanime
「銀河英雄伝説 Die Neue These」情報発信Twitter :@gineidendnt_pr
「銀河英雄伝説 Die Neue Theseメンバーズクラブ 新 獅子の泉(ノイエ・ルーベン・ブルン)」:https://ch.nicovideo.jp/noielb
「銀河英雄伝説 Die Neue These」の公式商品直販ショップ「Phezzan」:https://froovie.jp/shop/c/cPhezzan/

©田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会
©田中芳樹/松竹・Production I.G・らいとすたっふ

Share

X(旧Twitterでシェアする facebookでシェアする LINEで送る LINEで送る

関連リンクnavigate_next

expand_less